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2014年7月31日 (木)

感性は教えられない

『能楽タイムス』8月号の能評某氏の記事に目が留まり、共感したのでシェアしよう。

先月の狂言のとある会、狂言〈川上〉での観客の反応。
妻が夫に三下半をつきつける場面では、会場大いに笑いにつつまれる。
しかし、その夫へ別れ際に愛惜の想いを妻がついもらす場面、
ストーリーからいえば、しんみりほろりともらい泣きすべきところ。
しかしここでも台詞と仕草にのみ反応し、笑いが起こったという。
能評某氏、「この笑いは理解できない」とぼやいた記事であった。

ぼくも能を見て、いくどとなく同じような体験をしている。
シテが曲のもっともつめどころ、最高度の緊張感の中、
一句を謡う、または一瞬の所作をするシーン。
たとえば〈井筒〉の井戸をシテが見込む場面など。
ここで手元の袋やパンフをめくり、がさがさ音を出したり、
まったく関係ないものをみつめていたり(非常口のランプや後見等)、
携帯をいじくるなど…。
「ここは動けないし、息もできるわけないでしょう」と、
毎度思ってしまう。

「お能を見て泣いたことも感動したこともない。どうやったら涙が出るの?」
と、ずいぶん長く能を見て稽古も続けているある知人から質問されたことがある。
これはむろん答えようがない。
感性は人それぞれで、面白いところも、膝を乗り出してみるところも
まったく別だからだ。

井筒のここで感動しなさい…
隅田川のここで泣きなさい…
マニュアル化できなくもないが、それもなんか違うかな、と思っている今日この頃である。

感性を磨きなさい、といわれても磨きようがないので、
せめて「古典原作を読みなさい」、「能を数見なさい」、
としかいいようがないのだけれども。

この〈芸術不感症〉問題は、何も現代だけのものではなく、室町、戦国、江戸時代にもあったんだろうな、と推測している。

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2014年7月30日 (水)

「戦国武将と茶の湯」講座、恵比寿に教室移設しました。

銀座おとな塾産経学園の閉校にともない、「千利休侘び02 茶の世界」(今期テーマ:戦国武将と茶の湯)講座を、8月よりよみうりカルチャー恵比寿へ移設、あらためて開講することとなりました。

◆【言の葉庵】講座一覧
http://nobunsha.jp/img/kozalist.pdf

◆よみうりカルチャー恵比寿
http://www.ync.ne.jp/ebisu/

恵比寿での第一回講座は、8/21(木)10:30よりスタートです。
今回は、〔キリシタン大名と茶の湯〕をテーマとして、安土桃山時代に武将たちの間で大ブームとなった、茶の湯とキリスト教の関係を歴史と文化の両面から深く考察していきます。
利休七哲にもキリシタン武将が複数名いましたが、今講座では高山右近(洗礼名ドン・ジュスト)をとりあげます。

右近遺愛の〈侘助肩衝茶入〉〈右近作 茶杓、共筒〉や、古田織部〈黒織部沓形茶碗XP合わせ字〉など、キリスト教の影響を受けた茶道具の由来を解説。堺衆とフロイス・アルメイダ等イエズス会宣教師との交わりも史書にたどりながら、中世茶の湯創世の秘密に迫ります。

新教室は恵比寿駅直結、アトレの7階です。
ご興味がありましたら、この機会にぜひご参加ください。

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2014年7月23日 (水)

能と茶道、最奥の秘伝書をやさしく読む会

Resize0145 ■寺子屋素読ノ会
7/28(月)夜、開講します。
http://nobunsha.jp/img/terakoya%20annai.pdf

Aクラス:『風姿花伝』を読む 17:30-19:00
Bクラス:『南方録』を読む 19:30-21:00


世阿弥『風姿花伝』、千利休『南方録』。
能と茶道の数多い伝書の中で、最高峰と目される、
一子相伝の秘書を有志の皆様と1ページずつ丁寧に
ひもといていく読書会です。

『風姿花伝』は「第四神儀にいわく」を講読予定。
能の起源説、
1.神代(あまのうずめ)
2.インド祇園精舎
3.聖徳太子・秦河勝
4.翁の発生
5.興福寺神事能の起こり
の5つを観世家の伝承からたどりましょう。

『南方録』は「墨引」の段落を講読予定。
あまりに機密度の高い秘伝中の秘伝のため、
漏洩を恐れた師の利休が弟子の聞書きに墨を引いて
抹消したといういわくつきの章段です。
珠光→紹鴎→利休へと師弟直伝で伝えられた
幻の茶法〔曲尺割〕について、その技法を図入りで、
厳密に精緻に解説したもの。
今日の茶道では、すっかり失われてしまった
〔曲尺割〕の真実を解明していきましょう。


※初参加の方には初回参加用の配布資料を個別にご用意します。
事前に【言の葉庵】HPより、メールまたはFAXでご連絡ください。

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2014年7月21日 (月)

7/23(水)能〈杜若〉鑑賞講座

Photo 7/23(水)10:30-12:00 @自由が丘産経学園 ◆お能鑑賞 はじめの第一歩~神や鬼、美女に化ける能の演技の秘密~ http://p.tl/si54 2014年4月期後期講座の第一回目は能〈杜若〉をとりあげます。 能の5つの分類、神男女狂鬼のうち、第三番目のジャンルが「女ものの能」。別名、鬘ものともよばれ、もっともお能らしく、もっとも深い感動を味わえる、能の名作が集中する曲柄です。 〔講座予定内容〕 1.三番目の能とは能の作者たちは女ものの能をどのように定義していたか。 世阿弥「ただ美しく柔和なる体幽玄の本体なり」(花鏡)金春禅竹「優にやさしく物深く、しかも果敢(はか)なきすぢ交はるべし」(拾玉得花)  2.幽玄とは中国から輸入された〔幽玄〕の概念は、禅仏教により普及。以降芸術の深く微妙な表現をあらわすキーワードとして民間に伝播していった。 雅楽→和歌→能→俳諧 3.能〈杜若〉・曲の概説・あらすじ・みどころ/鑑賞ポイント・伊勢物語の業平の和歌・『伊勢物語』九段 業平東下り 音読・「かきつばた」の折句解読・能〈杜若〉薪能ビデオ鑑賞

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2014年7月20日 (日)

7/18梅若玄祥師が人間国宝に

能楽の梅若玄祥さん(シテ方)、三島元太郎さん(囃子方太鼓)が7/18、人間国宝認定への指定を文部科学省へ答申されました。
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201407%2F2014071800750&g=soc

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2014年7月18日 (金)

貞観政要の名言【言の葉庵】No.62

Resize0366 求めて得たものには、一文の値打ちもない。
~蘇則『貞観政要』巻第二納諫第五(三国志/魏書)


『貞観政要』魏徴の諫言に引用される、古の賢人のことばです。
原文(読下し文)では、「求めて之を得るは、貴ぶに足らざるなり」とあります。
まずは、本文をご紹介しましょう。


〔現代語訳〕

 貞観年中、太宗は西域に使者を遣わせて葉護可汗(ようごかかん) ※1を擁立しようとした。しかし、使者がいまだ帰国せぬ内に、別の者を追って派遣。金と絹を山と積んで、諸国を回らせ、良馬を求めさせた。魏徴が諫めていう。

「現在、発している使いは可汗を立てることを名目としています。可汗がいまだ立たない内に、諸国を巡って馬を買わせようとしている。かの国の人は、今回の使いは馬を買うことが目的であり、必ずしも可汗を立てることに真意はない、と請け取ることでしょう。そして、可汗が立ったとしても、それほどに陛下に恩を感じることはございません。さらに立つことができなかった場合、深い恨みを抱かせてしまう。諸外国がこれを聞けば、中国を重んじぬようになりましょう。ただ、かの地域を安泰にすることさえできれば、諸国の馬など求めずして自らやって参るはず」

「昔、漢の文帝に千里の馬を献上する者がありました。帝はいう。
『われ、平時には日に三十里、戦時には日に五十里を行く。馬前には旗を立てた輿、後ろには添え車が続く。われひとり千里の馬に乗って、いったいいずこに行けというのであろうかな』
 すなわち、その者に旅程の費用を与え、馬は返したといいます。また、光武帝※2に千里の馬と宝剣を献じる者があったといいます。帝は、馬には鼓車(こしゃ) ※3を曳かせ、剣は騎士に与えてしまいました」

「今、陛下の施政は、みなはるかに三王※4のそれを超えております。それがなぜここにいたって、漢の文帝・光武帝の下風につこうとなさるのでしょうか。さらにいえば、魏の文帝※5が西域の大珠を求めようとしたことがございました。蘇則(そそく) ※6はいいました。
『陛下の恵みが四海におよぶならば、珠は求めずしてやってまいりましょう。求めて得たものには、一文の値打ちもございません』
 陛下にはたとえ、漢の文帝の遺徳をしのぶことがかなわぬとしても、蘇則の正言を恐れずにおられましょうか」

 太宗は、ただちに馬を求める使者を中止させた。


(『貞観政要(上)』巻第二 納諌第五 第八章 水野聡訳 能文社2012)
http://nobunsha.jp/book/post_131.html


※1 葉護可汗 突厥の可汗。姓は阿史那氏、名は処羅侯(しょらこう)という。葉護は突厥の大臣をあらわす。もと葉護であったため葉護可汗と呼ばれた。可汗位継承に際し、先の可汗の遺言によりその弟である自身が次の可汗に指定されていたにもかかわらず、実子と位を譲り合った美談を残す。隋に朝貢し、旗鼓を賜い、西の阿波可汗(あぱかがん)を討った。
※2 光武帝 後漢初代皇帝。劉秀、字は文叔。王奔を破り、洛陽に都した。
※3 鼓車 大鼓を積む車。
※4 三王 古代の三聖王、すなわち夏の禹王、殷の湯王、周の文王・武王をさす。
※5 魏の文帝 三国時代、魏の皇帝、曹丕(そうひ)。曹操の長子。
※6 蘇則 魏の武功県の人。侍中として文帝に仕えた。
参照URL〔蘇則伝〕 三国志<魏書任蘇杜鄭倉傳第十六>
http://www.k3.dion.ne.jp/~tokiyo/retsuden/gi/so-soku.html


続きはこちら(言の葉庵HP)↓
http://nobunsha.jp/meigen/post_165.html

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2014年7月15日 (火)

明日メルマガ発刊します。

明日6/16(水)は【言の葉庵】メルマガNo.67発刊予定。あさって6/17(木)は、銀座おとな塾産経学園「戦国武将と茶の湯」最終回講座です。来てね!

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2014年7月 3日 (木)

【言の葉庵】翻訳作品リスト更新しました

Resize0213 能文社、古典翻訳全作品のリストを本日更新、公開しました。

■水野聡(能文社)翻訳作品一覧
http://nobunsha.jp/img/sakuhinlist.pdf

電子ブックとインターネットファイルは、リストのリンクから直接ご覧になれます。

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