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2012年5月28日 (月)

名言名句 第三十五回 達磨四聖句 教外別伝。

Resize0145 教外別伝。
~菩提達磨「達磨四聖句」


〔解説〕
「教外別伝(きょうげべつでん)」は、達磨大師のことばとされています。その一般的な解釈は、
「文字や言葉にたよらず、師より以心伝心、直接心に伝えられるものの中にこそ、真実がある」
というもの。禅宗でもっとも重んじられる〔達磨の四聖句〕の中の一つで、それらは以下となります。

●教外別伝
●不立文字(ふりゅうもんじ)
禅宗では、経典などに書かれた文字の教えを重んじることはない。坐禅などにより自ら直接真理を体得することを教えた言葉。
●直指人心(じきしにんしん)
あれこれ思いをめぐらせず、坐禅により自らの心を直接見つめることが何より大事である。
●見性成仏(けんしょうじょうぶつ)
自らの中に本来備わる仏性に気づくこと。そしてそれを通じて真の悟りにいたることができる。

これらは、そもそも釈迦の教えであるともいう。多くの禅宗の伝書に見られるこれら四句は、達磨の没後に禅門各宗にて標語として掲げられ、唐あるいは宋代に〔達磨の四聖句〕として定められたと伝えます。

これら四句はその主旨により、2つのグループに大別される。もっとも大事な教えは文字や理論では決して伝えられない「教外別伝」と「不立文字」、そして、自らの中に仏性を見つけ悟りを得る「直指人心」と「見性成仏」の、それぞれ2句、2グループです。

さて、わが国曹洞宗の開祖、道元は「教外別伝」について以下のように解釈しています。

ある漢いはく、釈迦老漢、かつて一代の教典を宣説するほかに、さらに上乗一心の法を摩訶迦葉に正伝す、嫡嫡相承しきたれり。しかあれば、教は赴機の戯論なり、心は理性の真実なり。この正伝せる一心を、教外別伝といふ。三乗十二分教の所談にひとしかるべきにあらず。一心上乗なるゆえに、直指人心、見性成仏なり、といふ。
『正法眼蔵』「仏教」巻

三乗十二分教は、仏教哲学や経典など、釈迦の教えを言葉で伝えるもの。かたや摩訶迦葉のみに伝えられた「正伝せる一心」こそ理性の真実であり、一心ゆえに「直指人心」「見性成仏」と同じ見地である、と道元は説きます。

「教外別伝」の類義語として、「不立文字」のほかに

「以心伝心」
「拈華微笑(ねんげみしょう)」

があります。今日一般的な四字熟語として広く流通する「以心伝心」は、禅宗第六祖慧能の説法集『六祖壇経』が出典。

法は則ち心を以て心を伝え、皆自ら悟り自ら解せしむ。

上の文より引用され、今日、仏教の「真理」や「法」という原義をはなれ、「言葉を用いないコミュニケーション」として、通俗化、定着した熟語です。

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http://bit.ly/KyK53H

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2012年5月10日 (木)

「六正六邪」。六人の悪魔の上司と天使の同僚

■名言名句 第三十四回 「六正六邪」

~魏徴『貞観政要』巻第三 論擇官第七
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〔解説〕

「六正六邪」は、『貞観政要』中、諫臣魏徴の上疏文にあることば。しかし魏徴のオリジナルではなく、前漢末の『説苑(ぜいえん)』から政策提言のため引用された句と文です。

この句がある『貞観政要』巻第三の「論擇官第七」は、新国家樹立に向け人材登用と任官について君臣、忌憚なく論を戦わせた段落。
貞観十四年、太宗の治世下では、強敵高昌国を討伐し、内外共に磐石の体制が築かれました。わが国では“人は城”と呼ばれるように、国家運営の要が人材登用・活用にあることは、古今東西を問わない永遠のテーマです。国づくりは、すなわち人づくり。外憂のなくなった唐朝廷と天子に対し、人材登用促進と、現家臣団の綱紀粛正のため、まさに時宜を得た献策が魏徴によりなされました。

「六正六邪」、すなわち「六人の正しい臣」と「六人の邪悪な臣」。この基準に従って、正しい人材登用と任官を行なえば、君主は安らかとなり、人民は治められる、と魏徴は説きます。
聖臣・良臣・忠臣・智臣・貞臣・直臣。これら六人の正しい臣が「六正」。たとえば、「直臣」について、本文では以下のように規定しています。

 国家が傾き乱れる時、上に諂(へつら)わず、あえて主の厳しい顔も犯し、面と向かって主の過失を指摘する。こうした者を直臣という。

かたや、具臣・諛臣・姦臣・讒臣・賊臣・亡国の臣。これら六人の邪悪な臣を「六邪」とする。姦臣とは以下のような輩です。

内面は陰険邪悪であるのに、外見は謹厳実直。弁舌巧みで人当たり温和、善人賢人を妬み憎む。われが推挙する人物の美点を目立たせ、欠点をおおい隠す。退けようとする人物の過ちを暴きたて、長所を隠す。主の賞罰は当たらぬよう、命令は行われぬように取り計らう。こうした者を姦臣という。

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http://bit.ly/LiBba8

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